とても気に入っているのでレビュー(というか感想とかつぶやきといった方が正しいに違いない)を書きたい、と思いつつ書けない作品って結構あります。コレはその筆頭といえるでしょう。
秋の到来が少しずつ感じられるようになってきた今日この頃、なぜかマイク・オールドフィールドの「
Ommadawn」をヘビロテしています。このアルバムは購入してから2,3年か3,4年か、それくらい過ぎていて、結構気に入って折に触れて聴いてはいるのですが、やっぱり書くのは難しそうだ・・・とずっと思っていました。
マイク・オールドフィールドといえば、なんといっても「Tubular Bells」でしょ!というのが定説(?)であり、私もその流れに沿って(?)Tubular Bellsも買って聴きました。Ommadawnよりも数年前です。でも、悲しいかな、その良さがどうにもピンとこず・・・片面20何分で一曲、という長尺モノのプログレをいくつも聴いて鍛えた(?)後でもやっぱりダメでした。
しかしこの「Ommadawn」はどうでしょう。耳なじみの良さにまず驚きました。聴いていてとにかく心地よいのです。一貫して温かみのある音、そして多彩な楽器と曲調がとにかくバラエティに富んでいて、聴きこむほどに一音一音染み入るようで・・・アルバムの隅々にまでそういう配慮(ってどういう配慮だよ?:笑)が成されているようで、お見事!としか云い様がありません。作り込み加減が素晴らしい!とも言えるのかな。だからといって、隙がないテンション張りまくりか、というと決してそんなことはなく、むしろゆったりと安心して(?)その世界に身を委ねられる・・・そんな感覚。
私が持っているのは輸入版なので、ためになりそうなライナーはもちろん英文なので未読ですが、聴きながら実況中継的(?)に曲ごとの感想なんぞを書いてみます。
1. Ommadawn (Part One) ...19:05
長い。けど全然OKっていうか、むしろもっと聴いていたいくらい。クセになる心地よさ。マイクさんってマルチなプレイヤーで様々な楽器を扱える方らしく、アコギ、エレキはもちろん、マンドリンやらバンジョーやらの弦楽器全般、キーボード、パーカッションに至るまで、殆どひとりで(?)やっているようです。長くても退屈することなく聴けてしまう曲というのは私的にはそう多くはないのだけど、やっぱり曲調の変化、楽器の特性を生かした展開なんかがわかりやすいせいか、本当に耳馴染みが良いです。後半ボーカルが入り、アフリカンビート(激しいヤツではなくややユルい)に変わっていくところとか大好きです。ちなみににわかに仕入れた雑学(?)によると"ommadawn"とはケール語(ケルトことば)で馬鹿とかまぬけとかいう意味だそう。歌詞もケール語のようです。
2. Ommadawn (Part Two) / On Horseback ...17:20
意識してないと素人にはパート1と2の区別がつきません(汗)。
一転してシンセの音から。でも雰囲気はPart 1を踏襲しているかんじです。やや重苦しいけど、この神々しさ(?)が後の展開に活きる(笑)。そしていかにもカンタベリーちっくなイギリスの田園風景が広がる(ような気がする)アコギな世界へ。チェロとかパンパイプス?(pan pipes)なんていうのも使われています。この牧歌的な音(今かかってます)がパンパイプスだろうか。そして弾むようなリズムに変わり、エレキギターの旋律と絡み合って幕を閉じる。
そして後半部の"On Horseback"のパートは素朴な歌モノでなんだか可愛らしい。これはご本人が歌っているのだろうか。ただ、どうしてPart 2とこれがくっついて一曲なんだろうか。くっつける必要性をあまり感じないような気もします。
3. In Dulce Jubilo ...2:51
軽快なマーチ風の小品。ほのぼのと可愛らしい。
4. First Excursion ...5:56
軽快さは影を潜めやや悲しげな曲調。ギターソロが切なげに炸裂する。もしギターが弾けて、これをマスターできたとしたらさぞ気持ちいいだろう。
5. Argiers ...3:57
これまた美しい小品。フルートの旋律が心地よい。もしフルートが吹けて、これをマスターできたとしたらさぞ気持ちいいだろう。
6. Portsmouth ...2:04
これはピッコロでしょうか。小鳥が歌っているかのような軽快さ。最後打楽器が加わりニギニギしく終わります。
メインはなんといってもタイトル曲のパート1&2なんですが、他の小品もなくてはならない名脇役といったところでしょうか。ホント、隅々まで輝いていて、聴き込むほどに味わい深くて、こういう感覚ってやっぱり堪らなくいいなぁ、と思えるのです。