Duke/Genesis |
Dukeを購入したのは、ほぼ一年前。こちらにも書いたように、最初聴いた時は正直あまりピンとこなかった。
ちょうどガブリエル期ばかりを集中して聴いていた頃だったせいもあるのだろう。スコーンと抜けるようなポップさにやや面食らい、ガブリエルもハケットもいないジェネシスなんて、ひたすらポップになっていくだけじゃん・・・などとわかったようなことをほざいていた頃だった。
ただ、ポップはポップでもやっぱりひねりが効いているというか、能天気に明るい、軽いだけの音とはもちろん違う、プログレの名残りというか、独特の空気はちゃんと残されているな、というのは感じた。
それでもなんとなく馴染めないまま、あまり聴くこともなく数ヶ月が経ち、いよいよ再結成ツアーがスタートした、と聞くとそうそう、Dukeでも聴いてみようじゃないか・・・という気分になってくるものだ。
なにしろツアータイトルはこのアルバムの中の曲名でもある「TURN IT ON AGAINツアー」だし。
で、久々に聴いてみると・・・いいじゃないか!ここ何日かでぐんぐん馴染んできている。
冒頭Behind The Lines~Duchessで始まり、最後Duke's Travels~Duke's Endで終わる、この構成がたまらない。これ1枚丸ごと全曲ライヴで・・・なんていう構想はなかったのかなぁ。きっとイケると思うんだけど。
実際、ライヴ向きの曲が多いのではないだろうか。前作「そして3人が残った」は佳曲揃いではあったけど、あまりライヴ映えしそうにない地味な曲が多かった。Dukeはライヴで演奏することを意識して書かれたのかな、と思いたくなるような曲が多い。
あと、ぱっと聴いた印象では全体の明るさに隠れてしまいがちなのだけど、暗い曲調や否定的な歌詞のものも結構ある。タイトルもPlease Don't AskだとかMisunderstandingなんてもろネガティヴだし。
部屋の窓から三日月を眺めている男の後姿が哀愁漂う、このジャケもほのぼのとしているのに、物悲しくもあり、なぜか心惹かれます。この人がDukeさんなのかな。
何かのインタビューでトニー・バンクスはジェネシスのアルバムの中でDukeが一番好きだ、と答えていた。そうだろうなぁ、と思う。だってトニーの魅力、全開ってかんじだもん。
ちなみにフィルは「ブロードウェイ」を挙げていて、ちょっと意外なかんじもしたが、5人での再結成が実現したら「ブロードウェイ・ツアー」をやりたい、と発言していたくらいなので頷ける。
(マイクが何を挙げていたかは忘れました・・・:汗)
このアルバムの魅力は、ポップだけど深みがあって奥行きがあってひねりがあって、ちゃんとプログレっぽいというところにあるのだろう。そして何よりも楽曲が良い。
繰り返し聴きたくなる、クセになりそうなアルバムです。