Peter Gabriel: 3 |
名前をアルバムタイトルにし、通し番号を付けただけ、という素っ気なさ(この手法は4枚目まで貫かれる)だが、あまりにわかりにくいため通常は"Melt"と呼ばれているそうだ。この顔半分だけ溶けている、気味の悪いジャケを見ればおわかりでしょう。
ジャケは確かに気味が悪いので、中身もさぞかしオドロオドロしい、とっつきにくい作品なのだろう、と敬遠していたのだが、この3枚目というのはファンの間ではかなり評判が良いようなので、思い切って買ってみた。
もう買ってから4,5ヶ月経っているような気がする。そう、例によって例の如く、最初は全然ピンとこなかったのだ。なんかもうこの人の作品は殆ど例外なくこのパターン(笑)のような気がします。
内容はジャケに反して、気味悪くもとっつきにくくもない。それどころか、ポップ。
しかしポップとはいっても、単純明快なポップさではない。複雑にひねりが効いていて、一筋縄ではいかない。でも馴染んでくると、あら、実は案外ポップなのね・・・?と感じるようになる、と言えばわかりやすいだろうか。演奏はタイトでヘヴィなんだけど、この人の地というか、ベースはポップな人なんじゃないだろうか、なんて思えてしまうのだ。
正直どの曲も好きです。捨て曲なし。プロデューサーにスティーヴ・リリーホワイト。ゲスト陣もフィル・コリンズ、ロバート・フリップ、ケイト・ブッシュ、ポール・ウェラー等、豪華です。
アフリカンビートを刻むラストの"Biko"(アパルトヘイトへの抗議活動の指導者Bikoへの追悼曲)だけは他の曲と肌合いが違う。内容が重々しいだけに、聴いていて自然と背筋も伸びてしまう。この後ピーターはエスニック志向へと向かうこととなる。
実は次作の「4」はついこの間買ったばかり。確かにぐぐっとエスニック寄りになっている。キライではないのだが、個人的にはあんまりエスニックすぎるのはちょっとなぁ・・・というかんじなので、自分には「3」ぐらいが丁度いいのかもしれません。