ペット・サウンズ (ジム・フジーリ:著/村上春樹:訳) |
ビーチボーイズといえばミュージシャンでは山下達郎、評論家では萩原健太、両氏の名前が浮かぶが、作家ではやっぱり村上春樹だろう。細かいところまで覚えていないが、村上春樹の初期の作品にはビーチボーイズを彷彿とさせるイメージが漂っていたし、確か”カリフォルニア・ガールズ”とか何か具体的な曲名もどこかに出てきていたような記憶があるし、そうそう、何より「ダンス・ダンス・ダンス」なんていうタイトルの作品もあった。(これは初期ではないけれど)
村上作品でビーチボーイズを知った、興味を持った、という人は案外多いのではないかと思う。まぁ、私も例外ではありませんが。
著者のジム・フジーリという人がどれほど知名度があるのかは知らないが(作家兼音楽評論家であるらしい)本書は熱烈なビーチボーイズ(ブライアン・ウィルソン)ファンの立場で書かれた「ペット・サウンズ」の解説本で、曲の解説も細かく、マニアならニンマリしてしまう箇所も多いのではないだろうか。
私がなんとまぁ・・・!と思った箇所は”素敵じゃないか”のイントロの後、ブライアンのボーカルが入る直前に、わずかにしゃっくりのような音が入っている、というもの。もちろんこの曲は何度も何度も聴いたけど、そんな事実は初耳であった。で、聴き直してみたけど・・・そんなの入ってるかぁ?高性能なオーディオじゃないと拾えないのだろうか。全くわからなかった。
個人的には「ペット・サウンズ」はもちろん好きな作品ではあるものの、歌詞を追及してみようと思ったことはなかった。私が持っているのは輸入盤で、歌詞が載っていなかったということもあるし、元々歌詞にはあまり拘らない方だし・・・。なので、当時のブライアンの心情と詞の内容とを改めて重ね合わせてみると、確かに重く、深く、切なかったりもするのである。
まぁ、面白い内容ではあったけど、一番おいしかった箇所は実は「訳者あとがき」だったりする。
このパートを実は一番最初に読みたい衝動に駆られたのだが(村上ファンなら絶対にそうでしょう)我慢して最後まで取っておいた。別に最初に読んでもかまわないんだろうけど、おいしいものを最後に食べる主義(?)なので・・・(笑)。ああ、この人は上手い文章を書くなぁ、とかひしひしと伝わるビーチボーイズ(あるいはブライアン・ウィルソン)への深い思い入れとか、あー、いいなぁ・・・と思わず口元がほころんでしまいました。
最近文庫本で「意味がなければスイングはない 」という音楽モノのエッセイを出したようで、その中にブライアン・ウィルソンのことを書いた章があるみたいなので、その章だけでもちょっと読んでみたい。立ち読みにトライ・・・か?(←買えよ!)
"I Just-"の冒頭の宇宙人の笑い声には触れていませんね(笑)。その声は実際には演奏のテープを巻き戻す音なのですが、オリジナル・モノ・ミックスのみに入っており、ステレオ・ミックスではカットされています。
私のレヴュー(URL参照)もお読みくだされば幸いです。
あとがきはやっぱり魅力ありますよね。村上ファンでもある私には正直このパートだけでも満足できました(笑)
>"I Just-"の冒頭の宇宙人の笑い声には触れていませんね(笑)。その声は実際には演奏のテープを巻き戻す音なのですが、オリジナル・モノ・ミックスのみに入っており、ステレオ・ミックスではカットされています。
宇宙人の声・・・そういうのもあるんですか(笑)。知りませんでした。やっぱりバージョンによって入っていたりいなかったり、ということがあるんですね。
レビュー、拝見しました。こちらのページにはちょくちょく伺っていますが、どうやら読み落としていたようです(汗)。色々参考になりましrた。
この本、曲についての細かい解説やエピソードもありますが、確かに正確な意味でのガイド本でも、ましてやデータ本でもないですね。