The Geese & the Ghost / Anthony Phillips |
なんとなくこういうイメージなんだろうな、というのは想像できたのだが、聴いてみたら想像していた以上に独特の「世界」があった・・・というかんじだった。
美しく、優しく、柔らかく、品があって、中世イギリスの田園風景が広がる・・・イメージ的にはこのジャケそのまんま。春のやわらかな木漏れ日がよく似合う・・・そんなサウンド。組曲仕立てのパートなどは中世の宮廷音楽的というか、ダ・ヴィンチとかの宗教絵画を連想させるような崇高さに満ちている。ロックというよりはクラシック音楽に近いかな。でも全体的な流れというか造りはやっぱりプログレなのかなぁ。
フィル・コリンズがボーカルを取る2曲目が人気のようだけど(フィルの声ってこういう優しい曲調によくマッチするのよね)アンソニー本人が頼りなげに(そしてどこまでも優しく)歌う終盤の曲も捨てがたい。どの曲が突出して良いとか良くないとかそういう括りを抜きにして、アルバム全体の流れが秀悦ですーっと聴けてしまう。いや、正直催眠効果も高いのですが(笑)(←いい意味での催眠効果です)。夜寝る前に聴くと心地よい眠りへと誘ってくれそうだ。ボーカルとインストの比率は3:7ぐらいかな。このくらいのバランスが良いね。
ジェネシスの初期のイメージはアンソニー・フィリップスの貢献度が高い、とよく言われているが、このアルバムを聴くとそれが実感できる。
彼はステージに立つと極度にアガってしまい、それを克服できずに辞めたとも言われているけど、だんだんバンドが売れてきて、人前に出ることも多くなり、ビジネスとしてもシビアにならざるを得なくなってきて、そういう環境についていけなくなったのだろう。そもそも上流階級のお坊ちゃまなわけだし、世間の荒波に揉まれてしゃかりきにバンドを続ける、という選択はなかったのかもしれない。
このアルバムがリリースされたのは'77年。そのころ流行したパンクムーブメントとは対極の作品である。ジェネシスを脱退してから5,6年が経っているわけだが、アンソニーはその間ギターをみっちり勉強し直して、そしてこのアルバムを作った、という。きっと真面目なヒトなんだろうなぁ。真面目で優しい、穏やかな人に違いない。
このアルバムを聴いていると、自然とそんな風に思えてしまいます。
アンソニー・フィリップスのヴォーカルいいですよね。
13~14曲目の流れは本当に気持ちがいい天上の音楽です。
お陰様でアンソニー・フィリップスに手を染めることができ、感謝です♪
確かに地味である意味「退屈」かも・・・とも思うのですが、聴き込むと本当に味わいがあって、良いですね。
「唯一無二」なサウンドというかんじがします。
本当に中学二年生だった当時、「ファンタジー音楽やゲーム音楽のルーツはアンソニー・フィリップスにある!」と書いてあった何かの記事に釣られて中二病的な衝動でこのアルバムを買ったのですが、当時は綺麗な音楽だなーと思った程度でその真の価値は分かりませんでした。大学生になった頃にアルバムは売り飛ばしてしまいました。
しかし、その後ギターやバンドに青春を費やし、20年以上たって落ち着いた今になって再度このアルバムを聴き直して見るとその素晴らしさに絶句します。
音楽というものに一切のケレンや妥協を持ち込むことなく、自分の世界を追求する事だけに集中したこれこそが本当の音楽ではないかとすら思います。商業的にどうだったかは分かりませんが、アンソニー・フィリップスという人は幸せだったのではないかと思います。
はじめまして!コメントありがとうございます。
私はこの記事を書いた頃に初めてこのアルバムを聴いたのですが、
もし中学生の頃に聴いていたとしても、ピンとくることもなく、その良さは
わからずじまいだったんじゃないかと思います。
なんといってもシブいし、穏やかすぎる雰囲気が中学生ぐらいだと
物足りないかなぁ・・・とも。
まぁ、何歳であれ、このアルバムに出会えたことにはしみじみ感謝したくなりますね。
このアルバム、最近聴いていなかったけど、ふぃーこさんのコメントを読んで久々にまた聴いてみたくなりました♪